髪の毛が一時的に生えることができなくなった状態のことを円形脱毛症といい、「10円ハゲ」とも言われています。
円形脱毛症は自然に治ることも多い病気です。しかし、根本的な原因を取り除かなければ、例え髪の毛が復活したとしても、また脱毛を繰り返すことになるかもしれません。
症状が起こる原因を理解し、適切な改善方法を実践していきましょう!
円形脱毛症の原因は体質とストレス
円形脱毛症は、免疫機能をつかさどるTリンパ球が、頭皮の下の毛根を異物と見なして攻撃することで毛根の周りに炎症が起き、髪の毛が抜けてしまうのです。完全には判明していませんが、自分の毛根を標的として攻撃してしまうことから、「自己免疫疾患」のひとつとされています。
もともと円形脱毛症を起こしやすい体質に、ストレスなどが加わることによって自己免疫反応が起こり、発症すると言われています。症状を起こしやすい体質としては、アレルギー疾患のある方や、家族が円形脱毛症になったことがあり遺伝的になりやすい方などが挙げられます。
年齢や性別に関係なく起きる可能性があり、日本皮膚科学会の調査によると男女比で発症率の差はほとんどなく、15歳以下で症状が起きた始めた患者の割合が2割を超えていたそうです。
円形脱毛症を起こしやすい体質
- 家族に円形脱毛症の人がいる(なったことがある)
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー疾患のある人(花粉症、ぜんそく)
円形脱毛型の種類
単発型
円形脱毛症の中では最も多くみられるタイプで、突然10円玉から500円玉くらいの大きさの円形(楕円形)の脱毛斑が現れます。脱毛斑は、頭髪だけでなく眉や体毛などにも現れることがあります。
多発型
円形脱毛斑が複数発生するタイプです。治療にも時間がかかり、完治まで半年から2年くらいかかる場合があります。
蛇行型
脱毛斑が後頭部から側頭部の生え際にかけて、細長く蛇のように広がるタイプです。治療には時間がかかり、複数年に渡る場合があります。
全頭型
脱毛斑が頭部全体に広がり、最終的に頭髪が完全に抜け落ちてしまうタイプです。非常に治りにくく、治療が長期に渡る場合が多いとされています。
汎発(ばんぱつ)型
円形脱毛症の中で最も重症とされています。頭髪だけではなく、眉毛やまつ毛、体毛など全身全ての毛が抜け落ちてしまうタイプです。
全頭型と同じく、非常に治りにくく、治療が長期に渡る場合が多いです。
円形脱毛症の治療法
範囲が小さい円形の脱毛斑がひとつできた程度で進行が止まっているようであれば、ほとんどが自然に治るので治療の必要がないことが多いです。しかし、一日でも早く治したい場合や、進行が止まらず脱毛範囲が広がっていく場合は、放置せずに皮膚科専門医を受診しましょう。薬物療法や物理化学療法での治療が検討されます。
薬物療法
抗アレルギー薬やステロイドによる治療が中心で、成長障害を起こす恐れがあるので、子ども(15歳以下)には使えません。
症状の進行具合によって、ステロイドの塗り薬を貼ったり、脱毛した皮膚に注射をしたりします。重症の場合は、入院して大量のステロイドを3日間点滴します。
物理化学療法
頭皮に人工的な刺激を加えて毛根の自己免疫反応を抑える治療法で、抗アレルギー薬やステロイドを使った治療の効果がなかった場合に行われます。
主な治療法に、脱毛部分に薬を塗り、軽いかぶれを起こして自己免疫反応を抑える「局所免疫療法」と、薬で紫外線に敏感になった脱毛部分に直接紫外線を当てて自己免疫反応を抑える「PUVA(プーヴァ)療法」があります。
ストレス解消は円形脱毛症の予防になる
軽い円形脱毛症の場合は、ストレス解消や食事改善などで自然治癒を促進できるかもしれません。
ストレスをため込んでしまうと、症状が更に進行する可能性があるので、早めの解消を心掛けましょう。
ストレスを解消する方法には運動や読書、入浴などがおすすめですが、無理やり実践するのではなく自分がやりたいと思えることをすることで、高いリラックス効果が得られます。
食事では、亜鉛や鉄分が不足すると髪の毛が細くなったり、抜けやすくなるので、亜鉛や鉄分を多く含む食品を意識してとりましょう。また、円形脱毛症のある人の髪の毛は、ゴワゴワしていたり、切れやすいことが多いので、保湿性のあるシャンプーがおすすめです。
最後に
「円形脱毛症は命に関わる病気ではないが、人生が変わってしまう病気である」という言葉もあります。
円形脱毛症の原因は体質によるものもありますが、もしストレスが原因ではないかという自覚が少しでもあるのなら、思い当たるものを少しずつでも良いですから、排除していくようにしてください。そうすることで、医師に相談することなく回復、予防ができる可能性が高まります。